母親から胎児へ?「継世代毒性」って何?
母親が妊娠中にあるウイルスにかかると産まれてくる赤ちゃんの耳や心臓に先天的な障がいが起こることがあります。
このような、母親から胎児へ受け継がれることは、特別なウイルスだけだと思われてきましたが、公害によって有害化学物質が胎盤を通して赤ちゃんへ引き継がれてしまうことがわかってきたのです。
母親と胎児をつなぐ胎盤とは?
つい60〜70年ほど前まで、母親と胎児の間をつなぐ胎盤は、栄養分以外の化学物質は一切通過させないものと信じられていました。
そもそも胎盤とは、母親と胎児の間にあり、赤ちゃんはへその緒を通して胎盤から栄養をもらったり、ガスの交換、老廃物の排泄、ホルモンの分泌、免疫機能などをしています。
ウイルスは細菌よりも小さいので、細胞に入り込みやすく、胎盤を通して免疫機能を持たない胎児へ移行し、障がいを引き起こすと思われていたのです。
これはウイルスだけだと考えられていたのですが、ある公害によって否定されることとなりました。
水俣病でわかった継世代毒性
1950年代に熊本県で起こった水俣病。これはメチル水銀に汚染された魚を食べることによって脳障害や神経障害が現れるという公害です。
妊娠中に汚染された魚を食べた母親から生まれて来た子どもたちに、最も多くの先天的な障がいが見られたことで、今までの胎児は影響を受けないという説がくつがえされました。
これによって、胎盤を通り抜けて胎児に影響を与える化学物質があることが明らかになったのです。
サリドマイド事件も継世代毒性
1960年代に起こったサリドマイド事件とは、妊娠中に安全とされてきた睡眠薬を飲んだ母親から生まれて来た子どもに、先天的な手足の奇形が見られるというものです。
母親にはほぼ無害なのに、胎児に重大な影響を及ぼしたこの事件は、世界中でニュースとなり、衝撃を与えました。
これらの事件によって、化学物質は胎盤を通過するだけでなく、胎児にも影響を与えてしまうことが実証される結果となったのです。
「経皮毒からの警告」の著者、稲津教久氏は、この母親から子どもへ胎盤を通して受け取ってしまうことを、継世代毒性と呼んでいます。
大切な子どもたちを守るために、知っておきたいことです。
参考文献:経皮毒からの警告
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関連項目
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