女性ホルモンと同じ作用を持つ環境ホルモンとは?
2016/11/16
すでに叫ばれて久しい「環境ホルモン」ですが、耳にしたことはあっても、本当にその恐ろしさを自覚しているでしょうか?私たちの体内にあるホルモンと、環境が及ぼす影響についてご紹介します。
女性ホルモンって何?
女性ならば毎月影響を受けているのが女性ホルモンです。主に卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」があり、このホルモンの影響で月経周期が支配されています。月経後から増え始め、排卵をピークに減少するエストロゲンは、美肌にも大きな影響を与えています。
一方、排卵後から増えるプロゲステロンは体内の水分を維持したり基礎体温を上昇させたりします。女性の性腺刺激ホルモンは、この2つのホルモンをコントロールすることで、排卵のリズムを作っているのです。
エストロゲン作用を持つ合成化学物質の話
1950年代、流産防止薬としてDES(ジエチルスチルベストロール)という合成化学ホルモン剤がアメリカで大流行しました。これは、エストロゲン作用を持つ合成化学物質で、流産防止としては高い効果がありました。
ただし、その20年後、恐ろしい事実が明らかになったのです。50年代にDESを服用していた母親から生まれた子どもたちに、ガン発症率が高いことがわかったのです。それは女性なら膣ガン、子宮ガン、卵巣ガン、男性なら精巣ガン、前立腺ガンといった生殖器ガンが特徴でした。
その後も女性の先天的なホルモンバランス異常や男性の精子数低下、停留精巣などの障がいが出やすいことがわかり、DESは使用禁止になっています。
しかしながら、約20年間使用されたこの薬の影響は、今でも続いていると言われ、合成ホルモンが胎児にまで作用したのではないかと議論されているのです。
実は身近にもある環境ホルモン
プラスチックの原料であるビスフェノールAは、かつてDESのような合成エストロゲンが作れないかと検討されたほど、よく似た化学構造をしています。つまり、プラスチック製品は、エストロゲン作用を持った化学物質が存在すると言える訳ですね。プラスチック容器に熱湯を注ぐと、環境ホルモンが溶け出すと言われるのは、この為なのです。
レイチェル・カーソン著『沈黙の春』は、農薬DDTが野生動物の生殖機能に影響を与えているのではないかとして、当時ベストセラーとなりました。また、シーア・コルボーン著『奪われし未来』では、アメリカでの工業廃棄物による動物たちの生殖異常、発育異常を指摘しています。
1990年代後半から「環境ホルモン」という言葉が取り上げられ、日本でも一時期は大きく取り扱われました。環境ホルモンは、体内に入ると、生物の正常なホルモン作用を攪乱し、思わぬ影響をあたえてしまうのです。身近にあるこのような危険を、知っておいていただきたいと思います。
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